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じつは9割が中国産!?神事「榊(さかき)」を国産に塗りかえる「株式会社 彩の榊」


榊(さかき)という木をご存知でしょうか?

榊という漢字は「神の木」という造りになっていますが、その名の通り日本の神道行事には欠かせない植物です。

お祓いで神主さんが枝を振るっているのを見たことはあるかと思いますが、あれが榊です。

榊

神棚があるお宅や事業所であれば常に飾っておくべきものとして馴染み深いでしょう。

日本の神様の「ヨリシロ」として使われる榊ですが、実は日本で流通している9割が中国からの輸入品なんだそうです。

そんな現状のなか、国産の榊を生産流通する東京都青梅市の農業生産法人「彩の榊(さいのさかき)」代表取締役 佐藤幸次さん(34歳)に話を伺いました。
社長と看板

なぜ「榊」に特化した事業を行っているのですか?

実家がもともと花屋だったので、榊も扱っていました。その当時は当然のように中国産を扱っていたのですが、あるとき中国産だということを知ったお客様にお叱りを受けました。

ところが近くの山をみていると榊って実はたくさん生えているんです。杉や檜といった建材用に植林された森であればまず生えています。これは面白いとのめり込みました。

2011年「株式会社 彩の榊」を設立。地権者と契約して山に入り伐採してくるというスタイルで榊を収穫し販売をスタートする。

佐藤社長

国産榊の需要はどうですか?

数年前から産地の表示がされるようになって、そこから「高くても国産」という需要は高まっています。また最近、結婚式や葬式を神式で行うことも増えてきており、需要に対して応えきれていないという現状です。近隣の森林組合やゴルフ場などと契約するほか、八丈島 三宅島などの島嶼部とも契約して仕入れていますが供給が間に合わない状況です。神式の榊に加え、仏式で使われる「樒(しきみ)」も扱っていますがこれも同じような状況です。

苗木を植えて生産もはじめていますが、まともに収穫できるまで8年かかるのでまだあてにはなりません。

出荷の体制はどのようになっていますか?

社員は6名、その他パートなど20名ほど。山に榊をとりにゆくチームと、それを選定のうえ神棚に供える「造り榊」をはじめ神事で使う様々なカタチ「玉串」や「大祓い」などにしたててゆくチームに分かれています。

集まった榊 加工場造り

また、森林に入って灌木である榊や樒を収穫することで思わぬ効果もあったという。

かつては杉・檜といった建材はいくらでも需要があって各地に植林されたのですが国産材の需要の低下とともに、下草が生えて荒れ果てているところがたくさんあります。そういったところに榊も生えているので伐採に入るのですが、結果として森林保全につながっています。荒れていた時には不法投棄や獣害が激しかった森林が榊を収穫するために人の手が入ることで改善されてゆくという効果を生んでいます。

今後の展開は?

直売所など青果の流通を来年度(平成27年度)から始めたいと考えています。

というのも山の持ち主は農家も多くて「野菜も扱ってくれないか」という声を多く頂いていたんです。また八丈島・三宅島とのお付き合いをする中で、まだあまり知られていないような島の産品があることに気づきました。物流は既にあるのでそれを活かしたいとも思います。

終始力強く事業について語り、また語りながらドンドンかかってくる電話に対応しスタッフに指示を出していた佐藤社長。アグレッシブな姿勢にこれからの展開が楽しみです。

直売所の新規事業については株式会社農天気としても連携してまいります。

街道と榊や

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