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農に関わる学生団体インタビュー第2回 学生団体eat_happy



学生団体eat_happy

~食から農の魅力を伝えるイベント集団~

 

 

近年農業系の学生団体が次々と立ち上がっている。その積極的な活動を取材することにより、なぜ今学生団体なのか、将来世代の旗振り役は何を考えているのか、日本の農業はどう変わっていくのか、を考えるのがこの「農に関わる学生団体インタビュー」というコーナーである。

 

第2回目は、食と農の魅力を伝えるイベント集団、学生団体eat_happyである。トレードマークはだだちゃ豆のロゴ。2011年に設立された団体で、現在活動メンバーは10名ほどだ。この団体の魅力は、型にはまらない活動ができていることである。メンバーそれぞれに団体に入った目的があり、毎年メンバーは変わる。少人数で活動していることでのフットワークのよさを活かし、1人1人の声を拾い集め、年間スケジュールが毎年大幅に変更される、という習慣はある意味合理的である。学生団体でここまでメンバーの個々の想いに耳を傾けている団体は少ない。ここにメンバーの主体性や継続性を生む秘訣がある。  2015年9月から6代目代表を務める永尾ももさん(東京農大3年)にお話を伺った。

 

〇活動の軸となる理念

農業の入口は狭いのではないか。多くの学生が農業に興味はあるが、やってみたいというところまでは至っていない。このような問題意識から、団体の活動はスタートした。

実際、現代表の永尾さんも、「食べることに興味はあっても、それがどうやってできているのかを知らない学生が多い。有機の食べ物が健康に良いと漠然と感じている人も、実際に現場を見て、なぜ健康に良いのかを知る人は少ない。食べることなしに生活できないこの日常で、魔法がかかって食べ物が食べられるようになるなんてうまい話はない。」と感じている。きちんと現場視点も入れつつ、食と農の魅力を伝えることこそがこの団体の理念なのだ。

 

〇活動内容

メンバー全員で、農とはなにか?を考えることから、活動は始まる。今年は「自然環境に手を加えたところから消費まで」と定義づけたという。現在は新歓に向けてTwitterを毎日更新し、新メンバー募集をかけているそうだ。下の写真はミーティングの様子。

 

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中心となる活動は主に3STEPに分けられる。おいしいものを食べる会、1日農業体験、ファームステイの3つだ。

まず、食べることに興味がある人向けに、おいしいものを食べる会を開催する。都内のカフェとコラボして、農家さんからいただいた食材を使って限定メニューを出す。参加者と交流しつつ、生産者の気持ちを伝えていくことを大切にしている。

そして、手始めに農業をやってみたいという人、農家さんの生き方に興味がある人向けに、東京の近郊の農家さんのところで1日農業体験を行う。4月は、東久留米(東京)、湖北(千葉)の農家さんに訪問する予定だ。下の写真は、昨年度に梨農家さんを訪問した時のもの。予備知識や道具は不要で、土いじりで汗をかいた後は、とれたての野菜を味わうことができる。

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最後に、田舎に興味がある人や、ガッツリ農業を体験したい人向けに、ファームステイを実施する。外部から参加者を募集し、東北、関東、中部など色々な所から熱い学生が集まってくる。ここ最近では、2016年2月に宮崎県日南市北郷町で実施した。牛、スイートピー、シイタケなどの農作業に加えて、農家さんの家に泊まり、本格的に農家さんの暮らしを体験した。普段の食において、命の尊さと「いただきます。」の意味を再認識してもらいたいという意味を込めて、貴重な鶏の屠殺体験も自分たちで企画して行った。体験下の写真は、前回の参加者の集合写真。

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2016年度 確定済みスケジュール

4月16日 新歓

4月24日 1日農体験(現メンバーが企画)

5月22日 1日農体験(新入生が企画)

*6月以降の予定は未定。ミーティングは週1で新宿にて行っている。

 

 

〇学生団体eat_happy代表 永尾さんのVISION

永尾さんはもともと、東京生まれで東京育ちの都会っこ。中学3年生の時、田舎に対するあこがれを持っていたこともあり、沖縄県久高島に1年間山村留学に行った。信号やコンビニもなければ、警察もいない。そんな環境にいきなり飛び込んだ。そこで農作業を経験し、あるとき、ふと自分の育てたものが収穫できた一時の喜びを感じたという。しかし、その時はまだ、そこまで農業は好きになれていなかった。中学卒業後は山形の高校にいき、援農をするという校風があったため、しかたなく農業をやりつつも寮生活をする日々を送った。次第にストレスがたまっていき、拒食症になってしまった。しかし、そんなある日ブドウ農家を訪れて、初めて自分の仕事に自信と誇りを感じている人と出会えた。そんな姿に感銘を受け、「ああ、私はこんなに頑張っている人がいるのになんで食べ物を残していたのだろう、捨ててしまっていたのだろう。」と考えるようになった。そして、それがきっかけで考え方が変わり、拒食症が克服できた。農業だって好きになれた。現在、東京農業大学の3年生。学生団体eat_happyの代表を務めている。団体を卒業してからは、独立を視野に入れて、自分の原点でもある山村留学のようなものを提供できる人になりたいと考えている。「物はあふれているけど、それって豊かだと思わないんです。」と語る永尾さん。新たな価値を創造すべく、積極的な活動を行っている。

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〇編集後記

農業とは全く関係のない都会っこが、農業という未知の領域に一歩足を踏み入れたときの心情を知りたかった。中3の1年間の山村留学。どんな心情で何を捨てて、何を手に入れたかったのか。憧れを漠然と思っていても踏み出せないことが多い。自分の経験に裏打ちされた過去こそがもっともイメージしやすく、安全な道と考えるものだ。しかし、それをあえて新しい道に進み、農業や食に出会った。決断力と開拓者精神が、型にはまらないこの団体の気風とマッチしたのだろう。今までとは異なるさらに魅力的なイベントを仕掛けていく予感がする。これからも、異色のイベント集団を応援していきたい。

 

 

お問い合わせや、その他提案など、学生団体eat_happyに関してご興味がある方はこちらまでご連絡ください

 

学生団体eat_happy:eathappy8@gmail.com

HP:http://www.eat-happy.info/

 

 

〇筆者プロフィール

稲村行真

中央大学法学部4年。古民家鑑定士。モットーは自然に忠実に生きること。オーストラリアと小笠原の生物多様性保全調査、村人が2人しかいない村での宿泊、ブータンでの農業・林業現場視察などを通じて自然に対する関心が深まる。2015年6月に合同会社wip-tyを起業、フェアトレード商品の販売を行った経験がある。そんな中で、現在は農天気.netの編集と共に、古民家を軸とした事業展開を進めている。

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