注目度急上昇中の「ハラル食」(イスラム教徒が飲食できる食材)体験レポート
宗教上のタブーをクリアした「ハラル(ハラール)食」とは
イスラム教徒(ムスリム)は宗教上の理由で豚肉が食べられない、アルコールが飲めないなど飲食における数多くのタブー(禁忌)が存在します。例えば敬虔なムスリムの場合、みりん等のアルコールが含まれる発酵食品、豚肉由来の乳化剤など添加物で使用されている場合でもNGとなります。
このようなタブー食材を「ハラーム」(ハーレムと同意)と言い、逆にムスリムが飲食できるものを「ハラル(ハラール)」食品と言います。
2020年の五輪や「和食」の世界遺産登録が決まってから、日本の食文化をどのように海外に流通させ、また外国人観光客におもてなしをするのか、様々な業界で議論が盛んになってきています。
しかしながら、このハラル食に関する対応は日本としてはかなり遅れているといえるでしょう。
和食文化の浸透を通した日本の農産物輸出強化なども期待されるなか、2030年には世界人口の1/4を占めるとも言われるムスリムマーケットは重要な意味を持ちます。
ハラル食を味わいながら、開かれたビジネス交流会
私自身、ハラルの言葉をはじめて耳にしたのが1年前のことですが、そこから急激に飲食・宿泊・観光業界を中心に注目が集まってきていると感じます。
まずはそのハラル食とはどんなものか体験してみるために
東京・青山のマレーシア料理レストラン「マレー・アジアン・クイジーン」で開催された「ハラルビジネス交流会」に参加してきました。
ビジネス交流会はメイドインジャパン・ハラール支援協議会(理事長 高橋 敏也)とJapan Halal Corp(代表 中村直子)の共催で行われ、飲食・観光関係の方々を中心に、実際にハラル食をいただきながら交流を広げてゆくという内容です。
実は農天気でも7月5日に東洋大学国際観光学科徳江ゼミと共催で「ハラル勉強会&BBQ」を企画しています。
そのPRと情報収集を兼ねて、徳江ゼミの学生たちと一緒に参加しました。
ハラル食 その味は?
気になるハラル食ですが、予想に反していわゆるアジアン料理の濃い味付けで男性に好まれるプレートでした。「宗教上の理由で・・・」というイメージからどうしてもストイックで淡白な味を想像してしまっていたのですが全くそうではありません。
むしろ宗教上のタブーを感じさせないマレーシア料理をいかに制限があるなかでつくってゆくのかといったところに力点が置かれているのかもしれません。
だからこそ「認証」というかたちでお墨付きを与えないとムスリムの側にしてみると「見た目や味では違いがわからないから、おいそれと食べられない」という状況が生まれているように思います。
ハラル対応の飲食店はごく少数、地方中小食品業界が認証に意欲
実際にムスリムの方が日本に来て安心して食べられる「ハラルレストラン」は東京に20軒ほどしかありません。ハラル認証よりゆるやかな「ムスリムフレンドリー」というレストランについても50軒程度ということです。まだまだ世間的な認知度も低いので、飲食店や土産物店が「これはムスリムが食べて大丈夫なメニューか?」と問われても答えようがないのが現状でしょう。
食品輸出関係においては地方の中小企業の間でハラル認証を積極的に取る動きが広まっているようです。例えば長野県のひかり味噌株式会社では、海外の高級料理店向けのハラル味噌、佐賀県の乾物業者が豚肉の代わりに魚のアジを使った餃子を生産したり、また茨城ではやはり海外の寿司店向けにハラルガリを開発中との話もありました。
これからますます注目を浴びそうなハラル食。農産物輸出関連はもちろん、外国人観光客をターゲットとした農家民宿や飲食店を考える上で欠かせない基礎知識となってゆくでしょう。
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